「サービス」vs 「営業」

Serving vs. Selling Image

「素晴らしいサービスを受けた経験は、素晴らしい営業スキルを目にした時よりも、消費者の印象に残るのではないでしょうか。心ある対応をしてくれた店員のことは、営業トークに長けた店員よりも、ずっと忘れがたいものです。」

では「売る」と「サービスをする」という行為は、何が違うのでしょうか。

スタッフにとっては営業の一環であっても、消費者にはそれがサービスだと映ることがあります。商品を買ってもらうためではなく、お客様の要望を叶えるために努める態度を目にした時、消費者は「大切に扱われている」と感じ、「良いサービスを受けた」と解釈するのです。

つまり、消費者自身を大切に扱う営業活動は「サービス」として受け取られ、消費者の心を掴む機会となります。

それにもかかわらず、消費者を辟易させるような露骨な売り文句を並べたマーケティングが世の中には溢れています。

これは、販促を含むマーケティング活動が、業績や売り上げ目標など店やブランド主体に考えられているからです。一方でサービスは、消費者主体のニーズやメリットを提供するためのものです。

だからこそ、商品を売り込むのではなく消費者を「大切に扱う」ことに焦点を当てることが、ブランドと消費者をつなぐための重要なきっかけ作りとなるのです。

そして、こうした消費者との長期的で有意義なつながりを育むには、コミュニケーション戦略や顧客経験の設計が必要になります。

代わりに、私たちは以下のような問いを投げかけます。

「誰を、なぜ大切にするか」
消費者に貢献することにどんな意味があり、それはどうしてなのかを明確にすることが、売上目標を把握するよりもずっと重要です。理由の部分まではっきりしない限り、残念ながらキャンペーンの成功は見込めません。

「どうしたら消費者の役に立つことができるのか」
消費者の現状を踏まえ、最大限に貢献するための方法やタイミングを模索します。

「どのように消費者に価値を訴え、感じてもらいたいか」
消費者に対する心からの思いをどのように届けるのか、そして消費者に提供できる価値は何か、を伝える方法を考えます。

そして、消費者に与える価値を測定する方法を見つけます。また、その価値の提供を通じて自分たちが得るものは何か、も考えておく必要があります。

これらは決して、企業の社会的責任(CRS)対策ではありません。成功するブランドは、ハンバーガーでも車でも化粧品でも、ジャンルを問わず、これらのポイントをしっかりと認識しています。

消費者を最も大切にするブランドが、消費者からも選ばれるのです。