戦略とは答えでなく、問いである。
現代ほど、マーケティングの成功が難しい時代はなかったかもしれません。マーケティングや事業領域の細分化が進む一方で、顧客データやタッチポイント、販売経路は増え続け、顧客の全体像が見えづらくなっているからと言えるでしょう。
その為、事業効率化や販路拡大といった努力をもって挑んでも、企業は常に失敗と隣り合わせです。複雑化する現代市場では、ブランディングやSEO、パフォーマンスマーケティング、eコマース、小売に至るまで、あらゆる方面で社内外の専門チームを駆使しても、顧客の全体像を正しく捉えるのは困難です。
これについては、マーケティング戦略や戦略立案者の手腕が、ビジネスにおいて今まで以上に重要性を増していることも示唆しています。優れた戦略とは、正解を出したかどうかではなく、方法論に基づいて段階的に課題を紐解き、各分野の専門知識を最大限に活かしながら、客観的な立場から課題に対する解決策を導くものです。
アルバート・アインシュタインは、こんな言葉を残しています。『自分の命がかかった問題があったとして、それを1時間で解かなければならないとする。その時私は、質問の定義するのに最初の55分間を費やすだろう。問うべき質問さえ分かれば、問題を解くのに5分もかからない。』
私たちの戦略づくりは、5段階で問題を理解することからスタートします。
- 課題の定義:ビジネス上の課題及び機会、課題を正しく理解するために必要な問いかけ、関係性の依存度、課題解決にあたって取り組むべき潜在的な問題点、プロジェクトの制約を考慮した上での根本的な課題解決の実現可能性の特定
- 現状把握:課題から見出された問い、そして同時に取り組むべき潜在的問題に対する調査・分析。 根本原因の仮説設定および検証。
- 未来像の設計:仮説に対する解決策の提案、ワークショップ
- 実現可能性の評価:想定される費用対効果に基づく、解決策の実行にあたって必要な条件の洗い出しと優先順位付け
- 評価:顧客動向調査、ROIとビジネス試算の実行
残念ながらスピード感を要する組織では、特にステップ1と2が未完成のまま、ステップ3以降から始める傾向があります。しかし課題の定義や依存関係が曖昧なままでは、未来像の設計や実現可能性と成果の評価も不十分な内容になってしまいます。
戦略において、的確な質問なくしては正解にはたどり着けないのです。