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マーケティングとはブランドと人の繋りに要約できる、と考えている。消費者の興味を惹き、投資してもらうために提供する「経験」である。新しいプラットフォーム、ツール、テクノロジーが充実した昨今、マーケティングを語ることはますます複雑化しているように映るかも知れない。しかし、その核を成すのは、驚くほどシンプルなコンセプトだ。


アプリケーションは従来型の広告に迫る勢いがある一方で、人々はあまり変わってはいない。唯一変わったのは、情報処理の仕方だ。そしてブランド体験(brand-being)が、ブランドのメッセージ (branding) よりもブランドイメージの形成に関わるように変化している。


私自身がブランド体験をデザインするときに大切にしている、人類共通の普遍的真実がいくつかある。以下、その5つを紹介させていただきたい。

1.『消費者をストーリーの主人公にしなさい。』アン・ハンドレー
適切なエクスペリエンスを築く秘訣は、クリエイティビティに限ったことではない。いつか実現したい素敵なアイディアを採用するかどうか、ではないのだ。(ちなみにイケているアイディアはたくさん書き留めている。が、しかし、マーケティング体験のスタート地点はそこではない)はたまた、商品からスタートするものでもない。

ではどこから始まるかと言うと、消費者である。彼らのニーズや背景、つまりストーリーだ。消費者理解が第一歩となり、それから商品やブランド路と繋げる作業が始まる。


2.『共感に始まり、実用で継続する。分析に改良され、愛で最適化される。』ジョナサン・コルマン

この教えは、デジタルプロジェクトだけでなく、あらゆるのプロジェクトに当てはまるだろう。共感とは、まず消費者理解を深めることを意味し、実用とは、マーケティングエンゲージメントを通じて消費者に真の対価を提供することだ。エンゲージメントは、情報、ユーモア、経験のサンプリング、または何か意外なものなど何でもいいが、消費者にその価値を感じ、認めてもらうものである必要がある。そして、その継続的な反復によって、消費者体験をより向上させ続けるというコミットメントによって完結する。


3.『言葉に続く言葉に続く言葉は、力だ。』マーガレット・アトウッド

普段どれだけ言葉の持つパワーに気づいているだろうか。その順序、言い回し、リズムによって、言葉はインスピレーションになり、私たちの思考に大きな影響を持つ。時には、世界観が逆転するような経験をもたらすこともある。マーガレット・アトウッドのこの言葉のように、強い力を放つのである。意思伝達のツールとしてだけではなく、私たちと言う人となりを作る。話し方、使う言葉、そして、何を話し何を心に秘めるのか。それが全てを変えることもあるのだ。


4.『広告のような話し方で話しかけたら、顔面パンチを食らうだろう。』ヒュー・マックロゥ
言葉はパワフルな存在だ。しかしこの業界では特に、浅はかで自己中心的な使われ方がすることもしばしば見かける。周りを無視し、大声をあげ、誇張し、とにかく自分を売り込む。日常に置き換えると、だれかに好かれたい時、こんな行動は言語道断だろう。つまり、個人では決して行わないような行動を広告だから、してしまっているのだ。この名言は、メッセージを外に伝えることに執着するのではなく、相手を会話の中に引き込もうという発想を思い出させてくれる。意味深く、現実的で、心に残る言葉だ。


5.『話したこと、人にしてあげたことは、いつか忘れられてしまう。しかし、あなたがどんな気持ちにさせたかを人は一生忘れない。』マヤ・アンジェロウ
経験の後には、印象が残る。優れたマーケティングは、経験を通じて消費者の気持ちを明るくさせる。広告自体は忘れられてしまって、そのポジティブなイメージを消費者は記憶するものだ。マーケティングの最骨頂とは、消費者を理解し彼らの視点を中心にしながらも、文脈的で説得力のあるストーリーテリング、つまりブランド体験を創造することだ。

そして、その逆もまた然りと言うことを忘れてはいけない。消費者にとってマイナスな経験は、払拭しがたい悪印象を残す。残念な経験がそのまま放置されたり、さらに蓋をされるようなことがあれば、更に深刻化するだろう。消費者ロイヤリティが君臨する時代は終わったのだから。

Adriani Christina Design Director
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