アフィニティ = モノまたは人に対して自発的または自然に形成される好意、親和性
アフィニティとは、例えば友人と過ごす心地いい時間に顕著に生まれやすい。つまり、本来の自分の姿である時である。気の知れた友人といるとき、ふとした笑い話を繰り広げたり、はたまた熱い心中を打ち明けるようなこともある。忙しく過ぎる日々の真ん中で、大志を語り、苦労を分かち合う、そんな空間だ。気がつけばあっという間に夜は更け、ありのままに解き放った心は前よりも軽く、エネルギーがみなぎっている。最も自分らしくいられること、それが色褪せない相互の絆になっていくのだ。
ビジネスにおいても同じことが言えるだろう。純粋なエンゲージメントを通じてロイヤリティを確立することが、継続的な良質の関係性構築に繋がることは間違いない。どうしたら顧客に好いてもらえる存在になれるかよりも重要なのは、いかに顧客側からまっすぐなアフィニティを抱いてもらうかである。言葉巧みなブランディングでアルゴリズムを駆使しようとしても、裏目に出るのが落ちだ。ブランド本来の姿を見せなければ、どんなに注目を集めるトレンドやインフルエンサーを以てしても、顧客の心をしっかりと掴むことは難しいだろう。
ではアフィニティ、友人に対して抱くような親和性を築くためのカギはなんだろうか?これこそが分かれ目である。ソーシャルメディアの薄っぺらい偽りの影に隠れる代わりに、大切な友人を扱うかのように顧客を扱うのだ。「あなた」のそのままの姿を好きになってもらう。そして、彼らに興味を持つこと。彼らが何を望んでいるのか、何に刺激されるのか、それをまるで友人に対するかのように好奇心を持って知り続けようとすること。それがカギだ。
正しいブランディングとストーリーテリングは、真のエンゲージメント、絆、そしてロイヤリティの構築に繋がっていく。
そしてこの相互のつながりが、連鎖反応のようにフィードバックやブランドの成長、向上に拡がっていく。ここで初めて、いかに心に残るブランドストーリーを届けるか、というブランドコンサルの領域に踏み出すことになる。確かに直接的な売り上げ向上への近道とはならないが、これによって無限に広がるアフィニティの循環を構築することができるのだ。無限となれば、やがて海を越え、山を越え、ブランドの価値は思いもしないスケールで羽ばたき出すだろう。